車の全塗装、どこまで塗るのが正解?
塗装範囲は塗料の注文前に決めておくのがベターです。
ここでは作業を始めてから慌てることがないよう、考慮すべき制約と微妙な部分の計画たてについて解説します。
例えばボックスタイプの車の場合、車内まで塗装すると必要な塗料は補修分込みで約1.5倍!
塗料の注文前に塗装範囲を決めておくことが必要なのです。
作業中に「塗料が足らない」「作業の途中で時間ぎれになってしまった」なんて慌てないよう、事前にしっかりと計画をたてましょう。
塗装範囲の正解とそれでも迷う人へ
全塗装する場合に、どこまで塗るか。
正解は「人それぞれ」です。
タカラ塗料の公式チャンネルにもこの質問は出ており「好みの問題」 と回答されています。
デモカーは全部しっかり塗ったが、他は全部塗ったり塗らなかったりと話していました。
正直好みの問題! …と言われると、また迷ってしまいますね。
そんな人のために、ここからは迷う場合の具体的な考え方を提案していきます。
条件と制約事項から考える
塗装するスペースを何日間確保できるか
1つ目の物理的な条件として、作業場所の確保問題があります。
塗装は雨風を防げる場所で作業したいもの。しかし、なかなか最適な場所を確保できないという方も多いと思います。
たとえば、おおよその目安として2〜3人で外側の塗装をした場合の作業時間の目安は1日です。作業場所を1日しか確保できない場合には、内側の塗装まで済ませることは困難です。
外側だけで完成とするか、別日に内側の塗装をすることになります。
何日間ならクルマがなくても大丈夫か
塗装にかかる時間の多くは下準備です。
車内も塗装する場合には、外側と比べて時間と手間がかかります。
塗装途中で部品が外してあったり、乾燥待ちでドアを閉められない状態など、車に乗れない時間は多くあります。
何日だったら車が使えなくても大丈夫かを計画し、逆算して塗装範囲を決めるのも有効です。
技術と道具と気合の分量を考慮する
車内の塗装で特に悩ましいのがドアの室内側やステップのふち。
こちらは細かいマスキングやパーツの取り外しが必要になる箇所が多い分、時間も手間もかかります。特にスライドドアの接合部はどうしても刷毛が届かないといった問題も…。
専用の工具がないばかりに、作業に倍の時間がかかることもザラです。技術と道具と気合に自信がない方は、外側の塗装を体験してから車内の塗装をするかどうか考えましょう。
見た目を考えると一気に作業をしたくなりますが、冷静さも大切です。
ただし車内の塗装は後日検討するにしても、今回行う「外側の塗装」が具体的にどこまでの事を指すのか、ハッキリさせておくことは絶対に必要です。
下記の『どこまで塗る?せん引きの難しさ』をぜひご一読ください!
どこまで塗る?せん引きの難しさ
車内も塗るかどうかはともかく、外側の塗装を手がける時に苦心するのが「どこまで塗るか」です。
これはぜひ実際にドアを開けたりハッチを開けたりしながら、事前に線引きを明確にしておいてください。
例えば下の写真は、運転席側スライドドアのレール部を外側から見たものです。
この写真で見ると、銀色のスライドレール以外の白い塗装部分を全て塗るのが良さそうです。
細かい曲線が多く塗りにくそうですが、普通に外側から見える範囲なので塗る以外に選択肢はなさそうです。
では次に、このスライドドアを開けてみます。
こんな感じです。
ドアを開けると塗る面が明確になりました。③面の銀色のレール以外の白いところを塗ればよいので分かりやすいです。
さて、ここからが問題です。
一歩ひいて、全体をみてみます。
上の写真で「ここまで塗る」と決めた③面の地続きは、どうなっているでしょうか?
先ほど「ここまで塗る」と決めた面③は、そのままドアの上・ピラー・運転席側のステップ・後部席のステップ・給油口の直前まで全て地続きになっているのです!
思っていたよりも塗装範囲が広くなってしまいました。
しかし地続きになっている以上はここまで塗るしかなさそうです。
さて、ここで想像力を働かせてみます。
2枚上の写真(スライドドアを開けてみた写真)に戻ってみてください。
左から順に、①スライドドア(外側)・②スライドドアの断面(ロックがついている面)・③銀色のレール以外を塗ると決めた面が見えます。
今のままでは、②のスライドドアの断面(ロックが付いている面)だけが元の塗装色のままになってしまいます。
スライドドアが閉まっているときは見えないのですが、写真のようにスライドドアを開けると違和感が出てしまいます。ということは、②部分も塗装をするべきではないか?
このように自然な感じに仕上げようとすると、思っていた以上に塗装範囲は広くなります。
しかも細かい部分が多いためにマスキング処理も緻密になるし、ローラーも使えません。面積は少ないのに、どうしても時間がかかってしまいます。
だからこそ事前に塗装範囲を決めておくことはとても重要です。
絶対的な正解はありません。
実際に車のドアを開閉したり、一歩下がってみたり、想像力を使って自分の最適解をみつけることが大切です。
具体的な計画をするのもワクワクする楽しい作業です。ぜひ楽しみながら塗装計画を立ててください!
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